「好きなこと、やりたいこと」(そもそも、それがあれば、、、ですが)を
仕事にできるのでしょうか?
「本当に自分の好きなことを仕事にすることはできない」と
考えていますし、
19年間デザインの仕事してきて
いまだかつて、一度たりとも「自分の好きなこと」を
デザインしたことはありません。
自由に好きに自分らしくデザインした経験は「0%」。
そもそもそんなことを考えたこともありません。
なぜなら、「仕事」だからです。
デザイナーになりたい人に多く見られるのは
「好きなデザインをしたい」という人。
だったら、「お金をいただく仕事」じゃなくて
「自腹を切るアート活動」をしたら?と、強く勧めます。
私たちはビジネス社会の一端を担う仕事をしているのです。
その自覚がなければ、どんなデザイン業界の「仕事」もできないと思います。
そういう意味では、
「広告」「パッケージ」「販促」「web」「エディトリアル」など
分野問わず、共通の認識だと思っていますし、
私も、もともとは「エディトリアル」をバイトで経験し、
「広告」の会社につとめ、今自分の会社を起業し「パッケージ」や「販促」などを
中心に仕事していますが、手がけるデザイン分野に変遷がありながらも
どの分野もビジネスである以上、
自分の好きなデザインしたという思いはありません。
全く違ったデザイン分野で、しかも
食品飲料、日用品、化粧品、雑貨、流通、外食、通信、金融、交通、住宅、
電化製品、テレビ、劇団、娯楽、出版・・・などなど、
業界自体も多く経験を積んできましたが、共通でやりがいを感じていて
(だから辞めないで19年やっているわけだし)
大事なのは「自分の好きなデザインをできるか」ではなく
「達成感をどこに求めるか」なのでは、
と思っています。
ここを間違うと、この仕事はめまぐるしくて過酷で
締切もタイトで制約なども多いですから、
どんな分野のデザインをしても
決して長続きできないデザイナーになってしまいます。
「デザイナー」である前に「社会人」であれ、と強く思います。
「社会人」、
つまりビジネス社会の一端を担う、というのは
仕事を依頼される
↓
それに応えるために制作活動する
↓
顧客やエンドユーザーに満足していただく(対価をいただく)
↓
社会に貢献することにつなげる
↓
達成感を得る
ということを、繰り返し継続し
役割を果たしていくことだと思います。
ここをきちんと理解できると、仕事は楽しいです。
「自分の好きなデザインをする」=「達成感」
ではなく
「顧客やユーザーに満足してもらう」=「達成感」
ということを考えられるようにならないと
ちっとも楽しくないと思います。
さらに、それを深めていくと
「顧客やユーザーに満足してもらう」=「自分の好きなこと」=「達成感」
にもなっていきます。
一生懸命やって、お客様に応えていくことを真摯に続けていると、
「ありがとう」「お願いして良かった」と感謝されたり
「デザインしてもらった商品が売れ行きいいですよ」と
言われたりして、
「またお願いしたい」とリピートで依頼してくれたりします。
それはすごく嬉しいことです。
大きな意味でそれが「自分の好きなこと、やりたいこと」になったら
この仕事での充実感は、とても大きなものになっていくのです。
そんなことを、
これからデザイナーを目指す方に、考えてもらえたら、と
思っています。